住宅の防音には吸音層が効果的

 木造住宅でもマンションでも、防音室を構築するには吸音層を設けることが重要です。それは遮音材だけでは構造的にも空間的にも限界があるからです。

 たとえば、コンクリートの厚さ150ミリの躯体壁は約D-50の遮音性能をもっていますが、コンクリートの躯体を単純に300ミリにしても、D-55にしか性能アップできません。これが通常の質量則の限界です。

 また、石膏ボードを2重に重ねても、遮音性能は500~1500Hzの音域において多少向上しますが、低音と高音域における遮音性能はほとんど変化しません。むしろ、低い音域のほうへ弱点がそのままスライドして、たとえば2500Hz付近にコインシデンス(遮音低下)が生じていたのが、2000Hz付近に移るなど、今まで気にならなかった音域に弱点が生じて、全体的には遮音性能の向上は体感できません。

 このように遮音材だけで防音設計・工事を行うことには限界があるので、比較的軽量な吸音層を併設することが、特に住宅の防音室では重要になります。質量則の限界を超えるには、吸音層の併設や制振材の活用が不可欠です。

 D-15の木造の間仕切り壁の空洞部にロックウールを充填するだけで、D-25の遮音性能が得られるという変化が起きることが少なくありません。吸音材の活用は防音対策の重要な要素です。

カテゴリー: 住宅の生活防音 パーマリンク