遮音性能における机上理論との乖離

防音設計や工事の実務の経験に乏しい評論家や建築士、施工業者などが質量則だけの机上の理論をふりかざし「コンクリート界壁・スラブの厚さが15センチ」の遮音性能を10dBアップさせるために、スラブ躯体だけで対処するには厚さを倍にする必要があると言います。

実際は、20センチ程度の厚さにすると、人間の耳には10dBアップしたように聴こえることがあります。これはコンクリートの強度や密度のほか躯体の区画面積にも左右されるため、このような現象が起こると考えられています。また、GL工法が使用されていると、躯体の厚さに殆ど関係なく、遮音性能が10dB以上低下することが多いです。

人間の体感と机上の理論は乖離することが多く、現実に供給されているマンションなどの現場での音測定や実体験による補正が極めて重要であることの根拠です。ネット上には、非常に無責任な浅はかな知識の使い回しで、情報掲示板などに切り張りしたような記事を軽々に投稿することで、相談者や閲覧者を混乱させる業者、ユーザーがいます。

実際の防音設計・工事の実務では、特にマンション、木造・鉄骨住宅の居住者の体験情報や担当する工事現場での検証が非常に大切です。複合された要因により、質量則など机上の理論を超えた現象が起きることは珍しくないのです。

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