防音計画

防音計画の基本となる防音材および資材製品の種類・特徴を知ることが重要

防音計画は建物構造・用途に応じて設計仕様・工法を決めるのが主な目的であり、防音材は主要な資材です。

先人である専門家が定めた防音設計マニュアルや分析された定石、近年開発された製品情報は基礎的な知識として把握する必要があります。

また、コインシデンスなど弱点をもつ製品の傾向や混同されやすい建築資材(断熱材と吸音材など)に関する留意点を知ることが有益です。
さらに、理想的な遮音材や吸音材は、特に木造の防音設計には欠かすことが出来ません。
*参考:費用対効果の高い防音材

防音材の種類

木造に限らず建物に使用される防音材には、遮音材・制振材・吸音材の3種類の資材があります。

遮音材は石膏ボード・ALCパネル等の建物の外装や内装の表層材として使用されるもののほか、遮音ゴムや樹脂・アスファルト基材による高比重の製品が一般的です。
制振材は遮音ゴム・アスファルト基材のほか高密度フェルト、ウレタンマット、ブチルゴムなど多様な素材の製品があり、主に振動源の直近で使用されます。
吸音材はグラスウール・ロックウール、セルロースファイバーのほか、リサイクル素材のポリエチレンウール、木の繊維で造られるウッドファイバー製品が増えています。

防音材(遮音材・制振材・吸音材)には、必ず固有の周波数特性(透過損失・吸音率など)があり、用途や目標性能に応じて必要な製品を選定します。

固体伝播音の遮断・減衰に際しては制振材が使用されますが、軽量音や重量音など音の性質によっても有効な製品は異なります。複数の製品を組合せて対処することもあります。


理想的な遮音材

防音材と透過損失

遮音材は周波数特性が有り、素材の持つ面密度のほか柔軟性や制振性によって遮音性能が左右されます。

理想的な遮音材の共通事項は、大きな面密度と柔軟性素材です。さらに制振性能が高い製品は比較的低い周波数の音の遮断能力も大きくなる傾向があります。
*リサイクルゴムチップで造られた遮音ゴムマットは経年劣化しやすいので、建物用途によって不向きな場合があります。

なお、石膏ボードや鉛シート・ALCパネルは、硬質素材特有のコインシデンスが生じるため、いくつかの周波数帯において遮音低下が起きますので、要注意です。


吸音材と断熱材

吸音材と断熱材

吸音材と断熱材の大半は別製品であり、断熱材は防湿フィルムに包まれています。ウレタンフォームなど硬質系発泡材は断熱専用材であり殆ど吸音性はありません。

硬質系発泡断熱材を天井や壁内部、床下に入れると空気層が共振して遮音低下する場合がありますので、住宅防音や防音室には使用できません。
とくに、木造防音室においては、専門業者が使用する吸音材は、ロックウール・ポリエチレンウールが標準仕様です。

また、断熱専用製品は、低い周波数帯と高い周波数帯の吸音率が低いため、厚さを大きくしても吸音効果はあまり向上しません。一方、吸音材は厚くすると吸音率が大きくなります。


防音材の概要・留意点

防音対策の概要と典型的な事例を記載しています。

参考ページ

防音材・施工の基本事項などを投稿している記事です。