木造住宅

木造防音の実例から設計仕様・工法の可能性と留意点を明らかにする

木造防音は建物構造を生かすことを前提に、用途や周辺環境に応じた効果的な防音設計および施工技術が不可欠です。

質量則など机上の理論や分厚い無駄な防音構造を見直し、相乗効果や費用対効果に関する実証的な研究と現場の防音工事の具体的な検証が重要です。

生活防音や音楽防音室は、木造建物の長所を最大限に活用した具体的な防音計画を施工した実例に学ぶことによって、優れた技術を生み出すことが出来ます。

古い設計マニュアルを補正する技術や専門的な防音材の分析をもとに作られた設計仕様を、現場の防音工事に適用して、その効果を計測したり、施主やピアノなど楽器演奏者の体験を記録することが有益であり重要です。
*今まで培ってきた経験と最先端の技術を総合化する点が肝であり、それが木造防音の奥深いところだと思います。

木造防音の経験則と周波数特性

木造に最適な薄型防音構造は、周波数帯の透過損失と制振性能・吸音減衰を複合化して構築する設計仕様によって実現できます。

遮音材の質量則を大幅に超える建築材料と防音材の組合せは、限られた空間と構造体から建築される木造には不可欠です。
木造防音は古い設計マニュアルや無駄に分厚い遮音・吸音構造を補正して、新しい音響・防音設計手法を経験則としてストックすることで生まれます。

一般的な建材および防音材(遮音材・制振材・吸音材)には、必ず固有の周波数特性(透過損失・吸音率など)があり、それを複合化・補完する技術が木造の防音設計を最適化します。 →参考:木造在来工法の防音設計

空気伝播音および固体伝播音の遮断・減衰は、実際の建築現場でしか検証することができません。実践経験が防音の経験則として優れた技術(設計・施工)を生み出します。

別ページに記載する「防音の豆知識」など一般的な防音設計の基本と併せて、ご参照いただければ幸いです。


戸外の車・工場騒音を大幅に遮断・減衰させる生活防音

生活防音

人の声・車の音・工場騒音の主成分周波数に合致した防音構造、複層的な防音材活用によって音を遮断・減衰させる技術が生活防音です。

防音の基本である「遮音・制振・吸音」の諸機能を複層構造で構成して対処するのは、「生活防音」と「防音室」に共通した重要事項です。

遮音機能には面密度・制振性が、空気音の減衰には吸音層・吸音材が重要であり、適した防音材の選定および厚さ・密度等の詳細な構成設計が不可欠です。

防音設計技術と施工要領がセットになって初めて適切な防音工事を実行することができます。もちろん施工する技能の重要性は言うまでもありません。
→事例:木造住宅における工場振動騒音の防音対策


近所に迷惑をかけない夜間演奏を実現するピアノ・音楽防音室

ピアノ防音室

プロのピアニスト・音楽家やピアノ教室主宰者にとって、ピアノなど楽器を夜間演奏できる防音室(練習室・教室)は不可欠です。音響の最適化も重要な課題です。

木造建物全体で必要な音響・防音性能を確保するだけでなく、ピアノやチェンバロ・オルガンなど大きな楽器を自由に配置できるように部屋を狭くしない防音構造が望まれます。
必要な遮音・防振性能、良好な音響は木材製品の活用や相性の良い防音材との組合せに左右されます。

また、木造建物は将来のメンテナンス・リフォームや改修を考慮して、必要な構造材や通気層・換気空間を一体的に構築する必要があります。「建物寿命や空間の快適性を重視する構造」と「防音性能」を両立させることが木造防音技術の真髄・本質です。
→事例:24時間演奏できる木造ピアノ防音室


防音設計の事例・概要

防音対策の概要と典型的な事例を記載しています。

参考ページ

防音設計・施工の実例と方法論などを投稿している記事です。