壁のGL工法と業界への指導

 壁へのGL工法の問題を建築士や住宅建築業者が知らないと言い、世の中に対策が標準仕様として公開されていれば、問題は少なくなると言います。

 しかし、旧建設省時代に、建設省および建築学会からGL問題についての注意事項や研究概要は、施工要領や研究発表などで公開されており、特に戸境壁にはGL工法は使用しないように提言あるいは通達されていると思います。

 知らないのは建築士を含めた、マンション設計・施工関係者の勉強不足です。日頃から研修・公開講座、通達、建築学会関係の資料・研究報告に目を通していればわかるし、防音設計のマニュアルにも問題点は記載してあります。

 私は当時、会社勤め時代に都市計画を中心とした業務をやりながら、資料には目を通した記憶があります。建築設計が専門の技術者が知らないと言うのは、マンション設計・施工管理を担当するに当たり、大きな問題です。

 マンションの生活騒音の問題は、現在では社会問題化していると言えます。このため、二重床や二重壁の工法開発がなされてきた経緯があります。しかも、近年のネット環境における情報入手の利便性などを考えると、知らないイコール専門家としての勉強不足です。最近の建築士は、とにかく自分で勉強せずに安易に専門業者に対策を聞きたがります。

 どんな分野でも日頃の努力がモノを言うと思います。たとえば、蕎麦屋が、だしに使う素材の品質・調理方法、工夫について無知だったら専門店として成立しないと思います。専門知識や経験がなければ建築設計会社・事務所としてマンションの設計・管理は、単独ではできないでしょう。

 防音リフォームを担当する業者が住宅の工法や問題点に無知だったら、間違いなく集合住宅・併用住宅では生活騒音が顕在化するリスクが大きくなります。

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